小 熊 座 2017/12    №391 当月佳作抄
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     2017/12   №391   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    単線は空に繋がりつづれさせ                我妻 民雄

    吐く息もわが身の一つ秋茄子                渡辺誠一郎

    水母なら二万の聲を拾うはず                髙橋 彩子

    黄落の渦の底なる脛巾神                  土見敬志郎

    笑ひても泣きても赤子豊の秋                上野まさい

    草紅葉水湧くところ水の神                  田中 麻衣

    秋燈や「球陽」つひに読まざりき               中村  春

    横顔に夕日ぶつかる刈田道                 鯉沼 桂子

    消えし村それぞれにある良夜かな              大久保和子

    大空に触れて黄落はじまりぬ                 斎藤真里子

    八月の雲に無数の窓のあり                 関根 かな

    冬紅葉祖母の記憶にいるわたし               千倉 由穂

    雌残る鈴虫の籠二タ夜経し                  須﨑 敏之

    雲の中の日に応答す杜鵑草                 俘  夷蘭

    放棄田の芒も天に至りけり                  佐竹 伸一

    秋草の眠りの深し若者も                    益永 孝元

    鰯雲木馬の脚は地につかず                 斎藤真里子

    流星は宇宙の涙()ぬとせむ               橋本 一舟

    新松子土俵の際に転び来る                 髙橋  薫

    天高し牛の糞にはある平和                  須藤  結

    狼を想う芒の大うねり                     横田 悦子





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