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2018/1 №392 当月佳作抄
ムツオ推薦
眼の光り霜来る前のこほろぎの 増田 陽一
「右奈ごや道」初時雨のお通り 沢木 美子
かそこそとかさと被曝の橡落葉 中村 春
両の手に何も持たずに翁の忌 渡辺誠一郎
ヒトよりもロボット自然体夜長 さがあとり
鰯雲わたくしという一欠片 小笠原弘子
雪起し釘で線引き国境 宮崎 哲
戦後まだ土管にありぬ寒夕焼 髙橋 彩子
間氷期の真ん中に置く檪の実 草野志津久
冬一日見えない雨の降つてゐる 関根 かな
冬に入る砂場の鳥の足跡も 日下 節子
抜けるほど月光を容れ蔦館 大西 陽
花でありしよりも鮮やか菊膾 清水 紗倭
草じらみつけて媼の地獄耳 永野 シン
冬満月土器に水面があったころ 千倉 由穂
星月夜われに触角確かにあり 春日 石疼
地動説に疑義はなけれど虫の夜 武良 竜彦
雪富士に見下ろされゐる超特急 田中 麻衣
頭に肩にハンドバッグに木の葉雨 郡山やゑ子
日短か薄くて重き求人誌 遅沢いづみ
月光が硝子の瑕に泌みている 佐藤 成之
晩秋の一村穴の如くあり 佐々木智佳子
焼芋や部屋のどこかにゲーテの書 樫本 由貴
襤褸笠のやうにならびぬ曼珠沙華 齋藤 千冬
秋風や更地となりて見ゆるもの 棟方 礼子
野ぶどうの葉裏葉裏の少年期 江原 文
綿虫を目で追ふだけのやうな恋 唯木イツ子
王義之は右肩上り龍の玉 村上 花牛
すぐ消ゆる正義の味方青写真 小野 豊
亡き人に声かけて出る良夜かな 伊藤 浩子
綿虫やノートにたまる未完の句 斎藤真里子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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