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 ２０１８／２ №３９３ 当月佳作抄
ムツオ推薦
何もなき空なつかしき鳥総松 上野まさい
湖上よりオリオンの膝立ちあがる 阿部 菁女
幼霊のゑくぼと見しは冬桜 浪山 克彦
動かぬを力としたる冬の蠅 土見敬志郎
冬青空ことばはいつも澱より さがあとり
大綿の一刻われらの一刻 中村 春
終着のつぎは始発や雪催 我妻 民雄
水飴のやうな路地の灯三の酉 田中 麻衣
歳晩の時間の渦の外に鳩 布田三保子
父の匂い枯野に匂いありとせば あべあつこ
極月や人を動かす信号機 瀨古 篤丸
除染袋一袋ごとの年の暮 平山 北舟
倒木に斧の痕あり冬の森 鎌倉 道彦
影も地に根ざしてをりぬ冬木立 小野 豊
眼に見えぬ富士や小春の海のうへ 津髙里永子
小春日の茶托がひとつ足りません 関根 かな
白鳥来タイガの色を眸に湛へ 大河原政夫
冬銀河大事なものは零れます 草野志津久
ひび割れの果てが海溝月冴ゆる 佐々木智佳子
寒星はぶつた切られし木に宿る 初見 優子
枝の影ぶつかり合って日短 伊澤二三子
雪催中原中也の瞳孔も 髙橋かおる
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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