小 熊 座 2018/3    №394 当月佳作抄
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     2018/3   №394   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    月面にとまりたさうな冬の蝿                  増田 陽一

    猫の足跡もめでたし小正月                   阿部 菁女

    凍星の凍てほどくとは消ゆること                我妻 民雄

    米寿とて旅のはじまり竜の玉                  小笠原弘子

    鏡には映らぬ病冬座敷                     永野 シン

    スーパーにまぐろの目玉雪が降る               さがあとり

    仰臥また生きる姿ぞ寒卵                    浪山 克彦

    さびしさの上澄みは碧竜の玉                  草野志津久

    眞向かえばどこも正面雪の山                 清水 智子

    東京タワーライトアップの寒さかな               田村 慶子

    年甲斐もなく風花につまづける                 上野まさい

    尖塔にふれず粉雪舞ひ出せり                 斎藤真里子

    念力を丸出しにしてちゃんちゃんこ              山田 桃晃

    厳寒や矢でも鉄砲でも飛んで来い               蘇武 啓子

    ムカサリに降りつもる雪消えぬ雪               水月 りの

    棄民とはのつぺらぼうの福笑ひ                植木 國夫

    大根の葉の影寄せつけぬ青さ                 髙橋 森衛

    琉球の海雲を啜る一会かな                  神野礼モン

    縄文に漆櫛あり炉話も                     河原 千秋

    根雪あり軽便鉄道跡の道                    岡村 直子

    埋火の声ほの赤くほの暗く                   上田由美子

    冬晴れやポストの赤は明治より                堂園 正広

    魂を形にしたら牡蠣の殻                    髙橋  薫

    折鶴に目鼻はあらず春の雪                  石の森市朗





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