小 熊 座 2018/4    №395 当月佳作抄
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     2018/4   №395   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    静止衛星直下熊の子眠るなり               渡辺誠一郎

    波音が波音を消し春の雪                  土見敬志郎

    山風は母の声なり蕗の薹                  永野 シン

    寒明けの黒光りして連結器                 阿部 菁女

    老年や舌のごとくに屋根の雪                我妻 民雄

    冬空とわが不知火の不治の海               武良 竜彦

    列島はさびしき形柊挿す                   上野まさい

    少し汚れ胸底にある残り雪                  増田 陽一

    サーカスの象の匂いや春の泥                土屋 遊蛍

    この褞袍半世紀など一つ飛び                清水 里美

    にんげんは目蓋から死ぬ薄氷                髙橋 森衛

    水の地球に火球の歴史冬の鳩               八島 岳洋

    寒月は湖底の深さ知つてゐる                斎藤真里子

    霧氷林まで阿弖流為の足跡か                鎌倉 道彦

    川のない橋の上なり良く凍る                 栗林  浩

    大寒の鏡に映る鼻ぺつちや                 太田サチコ

    雪解川天病むと詠み逝きにけり               坂下 遊馬

    星の位置少し動いて蕗のたう                 瀨古 篤丸

    震災遺構雪解雫は地を穿つ                 平山 北舟

    春の星のみ残りたる空き地かな               一関なつみ

    幼霊の足跡のあり春の水                   唯木イツ子

    座すといふことなきこけし冬深し               丸山千代子

    凍空の月を支える力かな                   岡田とみ子

    蝦夷鹿の瞬きしきり水温む                  村上 花牛

    はちみつは雲海となり冬深し                 髙橋  薫

    兎追ひしかの山見ゆる春炬燵                佐藤  海

    「疲れた」を真冬の海が吸い込んだ             及川真梨子





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