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2018/10 №401 当月佳作抄
ムツオ推薦
黙禱の睫がながい露草たち 沢木 美子
島の子の背中に残る暑さかな 渡辺誠一郎
敗戦の日も夏蝶は蝶の道 増田 陽一
雑草の声を聞くべし秋日和 浪山 克彦
蜜吸えば帆布となるや夏の蝶 𠮷野 秀彦
ひたすらに領巾振る琉金らの平和 栗林 浩
反戦を貫き通す蛾の眼 永野 シン
峰々を曇らす葛の香なりけり 津髙里永子
秋の虹自転車ならば辿り着く 関根 かな
山村の逆茂木今も秋の蟬 中村 春
どの道も潮の香強し終戦日 土見敬志郎
海鳴りに傾く電車星月夜 斎藤真里子
土偶の目その奥の闇夏の月 布田三保子
稲妻や残業ビルの灯に寄り来 一関なつみ
黄泉までも伴ふ義足雁渡し 八島 岳洋
文鎮に龍へばりつく大暑かな 丹羽 裕子
賽銭を投げて溽暑の地獄行き 千葉 百代
女郎花待ちくたびれて揺らぎけり 郡山やゑ子
夕顔瓢箪のように抱っこする 佐藤 レイ
波音に育まれたる夏の雲 斉藤 雅子
さるすべり音葉すみずみまで異国 千倉 由穂
掻爬されしフクシマの土百日紅 後藤 悠平
葛饅頭ほどの透明度で生きる みぎて左手
南瓜ならなんでも聴いてくれそうな 岡田とみ子
麦藁帽の大きな影が駆けてくる 斎藤真里子
どの蟬も足六本や蟬時雨 髙橋 薫
螢にはぐれ爪先まで夜空 古川コエミ
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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