小 熊 座 2018/11    №402 当月佳作抄
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     2018/11   №402   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    水平線見ることはなき秋の蝶                 渡辺誠一郎

    葛の葉のひるがへる時父の影                日下 節子

    笑わざる如く笑って唐辛子                   永野 シン

    かなかなのしみ入る父の万年筆               清水 智子

    一本の力や風のコスモスに                  土見敬志郎

    白髪の根にのこりをりいなびかり               森  黄耿

    葛這つて河原一枚動かしぬ                  佐藤  茉

    針突(ハジチー)の皺々とあり盆の市                    中村  春

    猪の血抜き場といふ流れあり                 瀨古 篤丸

    桃の香の夜風にまとひつかれをり               田中 麻衣

    炎昼のガラスの歪む斜陽館                  栗林  浩

    唐黍をかじる活断層の上                    植木 國夫

    秋の虹伊予水軍の水脈なるか                坂下 遊馬

    秋麗雀の役の五、六人                     松岡 百恵

    向日葵の真つ只中に立つ怖さ                 佐藤 弘子

    大花野耳標光らせては仔牛                   四戸美佐子

    からす瓜の花より開く夜のあり                 松本 廉子

    神となりたる子どもが通る秋祭                及川真梨子

    小流れに苧の影母の国                     伊澤二三子

    山川草木悉有仏性威銃                     森  青萄

    天地の匂いからめてどぶろく酒                髙橋美紀子

    台風の逸れたるのちのシャンデリア              斎藤真里子

    ペット大処分セールやかざぐるま               菅原はなめ

    田の神の祝詞のごとく田水落つ                塚本万亀子

    大花野魑魅の悪さの日照雨                  黒河内玉枝





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