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2019/3 №406 当月佳作抄
ムツオ推薦
腰紐を引き摺るように寒波来る 永野 シン
骨肉を離れて静か熊の皮 渡辺誠一郎
時間なら売るほどあると梟が 髙橋 彩子
南北を磁石定めり除夜の星 津髙里永子
吾が心音吾に聞こえず春時雨 我妻 民雄
冬薔薇はなやかにして匂はざる 日下 節子
帰り花時間に重さありますか 小笠原弘子
数へ日の人参・牛蒡・八ツ頭 阿部 菁女
ベルリン未だ傷痕ありて霙降る 増田 陽一
暁星に藻塩火匂う鬼房忌 土屋 遊蛍
くらやみの古き喉を粥柱 浪山 克彦
読経の終りてよりの雪螢 平山 北舟
大鼾乗せて列車は雪国へ 布田三保子
勲章のやうな傷あり次郎柿 鯉沼 桂子
マンモスはオーロラの下水仙花 佐藤 みね
嬰児に山河は古し去年今年 森田 倫子
コンビニの廃棄弁当星凍る 小野 豊
反戦のデモ行進ああ雪催 千葉 百代
子らの笑み遅れて氷割れる音 佐竹 伸一
「こだなゆぎさすけね」と目をしばつかす 阿部恵美子
冬銀河地層は今も時間積む 佐藤 海
地球とは大きな磁石しゃぼん玉 菅原はなめ
家系図を辿れば大綿の國に 小田島 渚
えんずのわり仮設長屋の灯の下に 大河原真青
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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