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2019/11 №414 当月佳作抄
ムツオ推薦
月光は妖精の脚真葛原 我妻 民雄
秋風の栖あるなら道の奥 渡辺誠一郎
天保の頃の土の香茗荷の子 阿部 菁女
蝦夷竜胆この世の青を尽くしおり 永野 シン
藍上布裾から水漬く心地して 沢木 美子
少年の腋に棲み着く黒揚羽 野田青玲子
これがかの地獄の門か小鳥来る 中村 春
虫の闇立正安国論蔵す 田中 麻衣
胸底に沈んでゆきし晩夏光 郡山やゑ子
老人は晩夏のやうに生きてをり 八島 岳洋
夜半の秋大地のやうに淋しかり 久保 羯鼓
靫草山気は塵を寄せつけず あべあつこ
今ごろは虫の宿なり草木塔 丹羽 裕子
水葵あれは二万の涙壺 大久保和子
わらわらと来てわらわらと稲雀 四戸美佐子
敬老会青年団の顔となり 小野 豊
ナナハンでもぶっとばしたい灸花 田村 慶子
コスモスは嵐と同化して自由 髙橋 薫
剝製の子熊の爪へ流れ星 小笠原祐子
被曝地や夏草の這ふ覆ふ蔽ふ 佐藤 和子
毛虫から毛虫へ移る焔かな 菅原はなめ
PCの中の配盤秋の空 及川真梨子
皂角子が鳴り出す曾祖父居るように 須藤 結
銀漢は流沙となれり栗鼠眠る 大河原真青
稲刈機余熱を星へ解きをり 小川たか子
何処かに戦火柱に蠅叩き 山本 勲
星空は呼吸の途中葡萄園 𠮷沢 美香
夏山のここより空へ登るらし 阿部ゑみ子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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