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 ２０２０／１ №４１６ 当月佳作抄
ムツオ推薦
熱燗や鬼房のこと語れよと 渡辺誠一郎
小気味よく木の実踏みふみ可哀想 我妻 民雄
銀座にも林檎の香あり白秋忌 増田 陽一
木枯や山越えて来し庄内麩 永野 シン
芭蕉忌へ参ず魚臭の帽子脱ぎ 土屋 遊蛍
さざなみの砂に浸みゆく神迎へ 津髙里永子
戦争の昭和に生まれ風邪ごこち 上野まさい
夢道忌や煙の出ない煙草買ふ 栗林 浩
泪壺とは龍胆の異名なり あべあつこ
中間貯蔵へ砂まいあげて荻の道 植木 國夫
海の声聞いて干し柿甘くなる 蘇武 啓子
この世のどこかに狼の声一揆のこゑ 大河原真青
あの人は苦労知らずと落葉かな 田村 慶子
枯蟷螂放置自転車のやうに 佐藤 弘子
中学の合唱冬の羽音となり 須﨑 敏之
津波に消えし町と稔り田機窓より 丸山みづほ
冬は冬の帽子をかぶり一人かな 山野井朝香
冬青空染み入る明日はなき乳房 杉 美春
秋風が連れてくる友晒飴 大久保和子
朴落葉もの云ひながら落ちて来る 唯木イツ子
うたた寝のあたまの中に小鳥来る 秋元 幸治
荷造りの荷物の上に冬の星 千倉 由穂
冬晴やケトルの蓋が動き出す 斎藤真里子
新藁の匂ひ水禍の牛に敷く 佐藤 和子
冬鷗ちょっと世界を明るくす 菅原はなめ
大熊町の紅葉の暗さ送電線 小野 道子
長子逝き犬ゆき猫ゆき牡丹焚く 森 青萄
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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