小 熊 座 2020/8    №423 当月佳作抄
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     2020/8   №423   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    かたばみは貧し眩しき花かかげ             我妻 民雄

    白粥に身の透くほどの涼しさよ              浪山 克彦

    まなうらにまだ見ぬ山河髪洗ふ              阿部 菁女

    虹の根元に楼蘭の民の声                 沢木 美子

    均整のとれたる姿蠅叩                   津髙里永子

    土踏まぬ一日の暮れて豆の飯              小笠原弘子

    夕牡丹けふは何日何曜日                 田中 麻衣

    梅花藻の首出して咲く地蔵川               足立みつお

    虹立てり虹消えし後の身中に               村上 花牛

    ぎいきいと大マニ車梅雨に入る              田村 慶子

    水動かず山椒魚の動きけり                斎藤真里子

    プレパラートの細胞切片夏が来る            岡村 直子

    Tシャツに足生えてゐて少女               松岡 百恵

    掃除機の中に増えゆく夜の羽蟻             菅原はなめ

    甌穴に軽鴨の羽雲流る                  中村  春

    鯉百年蓮の葉の露転がれる               布田三保子

    花吹雪戯れる狼見たような                丹羽 裕子

    ぽっかり雲種まき拙し妻幼し               山本  勲

    誰しもが依存症なり誘蛾灯                小田島 渚

    赤き斑をあらはに()るむ黒揚羽            宗像眞知子

    外待雨(ほまちあめ)去りて一面柿の花                 髙橋美紀子

    水音を殺しくちなは泳ぎけり                兵頭 康行

    帆船の夢もたたみて夕焼ける              小野 郁巴

    結葉の光メールを読むあいだ              及川真梨子





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