小 熊 座 2020/10    №425 当月佳作抄
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     2020/10   №425   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    煙突の天に届かぬ大暑かな                渡辺誠一郎

    梅雨きのこ水と誤解でできている             沢木 美子

    枝豆や終に消えざる国訛                 永野 シン

    未来とはかたち無きもの夏の暮              小笠原弘子

    本当の顔のわからぬ甜瓜                 郡山やゑ子

    未来から何告げに来し蚊の姥は             八島 岳洋

    花南瓜より金泥の蜂ひとつぶ               阿部 菁女

    その色は地霊の色か月夜茸                土屋 遊蛍

    帯電の象の歩める敗戦日                 大河原真青

    大津絵の鬼は愛らし夏の月                布田三保子

    無限大記号となりて蚯蚓の死               瀨古 篤丸

    蜘蛛の糸からむこの世の捨てがたし           鯉沼 桂子

    充電は不要なりけりかなかなは              関根 かな

    外に月を待たせて人と会いにけり             菅原はなめ

    子の笑顔もつとも溶かす搔氷                丹羽 裕子

    パソコンに復元ありて蚯蚓鳴く               佐藤  茉

    ひとりはさみしふたりもさみし金魚鉢            中鉢 陽子

    老いしゆえピアノ聞こえる花野かな            山寺佐智子

    人間の口おそろしき夏の闇                 林   衿

    鉄風鈴今なほ母の音すなり                 竹内 葉子

    雲のごと旅に出てをり浜昼顔                小野 郁巴

    モーレツといふは毛虫の二メートル            小田島 渚

    夏燕つひに戸籍は吾一人                 塚本万亀子

    叢雲に月の爛るる原爆忌                 小川たか子

    ぽこぽこと軽トラ寄り来秋の虹 �             �沢 美香





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