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2020/11 №426 特別作品
夏の記憶 杉 美 春
草稿の束の湿りや夜の秋
昼寝覚め熱帯雨林抜けて来し
水で溶くオレンジジュース終戦日
水着脱ぐ水平線を傾けて
浮身して一枚の空二枚の耳
海月遊泳水摑んでは水放し
水母泳ぐ空母の喫水線の上
新涼やアクアリウムの灯の青し
夏蝶の影が樹海の倒木に
甌穴に逆巻く水をボート過ぐ
花カンナ飛ぶには重き陽を受けて
精霊蜻蛉放生池に翅合はせ
天竺ねずみ鼻うごめかす処暑の風
秋暑し北京ダックを吊るす鉤
稲妻や罪はカインの昔から
夜店の灯狐の赤目かも知れず
宵宮の裸電球雛売らる
五色豆舌に転がす西鶴忌
陵の向こうは見えず稲の花
血の滲むジビエ料理や雁渡し
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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