小 熊 座 2021/1    №428 当月佳作抄
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     2021/1   №428   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    後の世も防護服着て冬木立                  郡山やゑ子

    冬麗ら遠嶺走り来るごとし                   土見敬志郎

    堕ちたるを恋と言ふなり枯蟷螂                増田 陽一

    忠義とは死ぬことなるや櫨紅葉                布田三保子

    厠には厠の神や冬に入る                   阿部 菁女

    くしゃみして極悪非道人となる                 水月 りの

    寒月光埋められし瓦礫軋む音                 春日 石疼

    ちちろ鳴く真っ只中へ終電車                  あべあつこ

    陽の色を溜めて木の葉は夜も散る              斎藤真里子

    サルビアの死化粧として霜被る                岡村 直子

    痩せ牛の眸くもるや神の旅                   植木 國夫

    疫病に気配などなし秋しぐれ                  斉藤 雅子

    蹌踉と落葉ふむ音歌になる                  山寺佐智子

    寒夕焼吸い込み巨大ガスタンク                千倉 由穂

    秋風のどこも正面にて寂し                   及川真梨子

    草雲雀流浪のこゑを震はせり                 水戸 勇喜

    甲冑は口綿含み月に佇つ                   池田 紀子

    初霜の朝日地霊を目覚めさす                 宗像眞知子

    板チョコの板のままある寒さかな               八島ジュン

    今日の空原始の蒼さ三十三才                小野 郁巴

    双葉町水鳥の水脈つなぎゆく                 後藤よしみ





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