小 熊 座 2021/7    №434 当月佳作抄
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     2021/7   №434   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    竜天に登る影を濃くする竹箒              渡辺誠一郎

    風船は破裂寸前三鬼の忌               中井 洋子

    原子炉か継蠟燭か朧の夜               土屋 遊蛍

    波音が波音を消し受難の日              土見敬志郞

    終末はさておき花見支度かな             八島 岳洋

    白南風や三角兵舎半開き               植木 國夫

    父の忌や雀の担桶は日に塗れ            大河原真青

    火取虫あまた殺めて朝の月              浪山 克彦

    海牛の豊かに太る聖五月                杉  美春

    葦牙もデブリもありぬ原初より             丹羽 裕子

    青山に背筋を伸ばす大蕨                佐竹 伸一

    一本は伐られし松よ囀れる               及川真梨子

    コロナ禍の聖五月なり祓ひ獅子            椊田 浩子

    遠花火死後も流れてゆく時間              よしの公一

    バードウィーク帽子なんども飛びたがり        棟方 礼子

    憲法記念日溶接の火花散る              小田島 渚

    腑の奥までも春大あくび                 八島ジュン

    春の月樹々の静寂に鳥けもの             宗像眞知子

    春愁やカーテンにある山と谷              髙市  宏

    鶯に湖はさざ波返しけり                 あべあつこ

    呪言とは水面を泳ぐ蛇の舌               横田 悦子





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