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2021/12 №439 当月佳作抄
ムツオ推薦
どの家も屋根をのせたる秋気かな 渡辺誠一郎
神田川三十余橋竜淵に 我妻 民雄
足穂忌の禿頭に降る流星雨 春日 石疼
小鳥来て小鳥と遊ぶ墓地の死者 野田青玲子
放射能沁みたる五体秋深し 橋本 一舟
停車場とよべば夜寒の駅となる 草野志津久
熟柿も恋もいきなり落ちて来る 髙橋 彩子
露寒の無量の星となつてゐる 中村 春
生れてより置賜暮し菊膾 鶴巻日々来
今着きし南部杜氏や雁の声 蘇武 啓子
野仏は涙脆くて露の玉 髙橋 薫
血だまりのごともつれ合ひ穴惑ひ 小田島 渚
星月夜ビールの泡に埋もれけり 須藤 結
裸木の琴を奏でる月の爪 𠮷野 和夫
鳥渡る骨が煙になる途中 唯木イツ子
大軍の来て平和さう赤とんぼ 秋野 護
父の忌や新米を嚙み空見上ぐ 宮崎 哲
少し削れば梟の貌になる 八島ジュン
赤蜻蛉水輪は水の神の顔 山本 勲
骨壺はとはの方舟虫時雨 龍 太一
冷まじや棄民の裔を棄民とし 田中 充
新涼をクリアファイルに閉じ込める 亀山 行房
松籟の途切れし浜の秋夕焼 小野 道子
病の巣なれど生きおり柿甘し 紺野みつえ
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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