小 熊 座 2022/2    №441 当月佳作抄
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     2022/2   №441   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    狐火とのほどよき距離を訝しむ         渡辺誠一郎

    鯨食う津波の町を離れずに           土屋 遊蛍

    冬暖の影のみ動く伎芸天             津髙里永子

    綿虫を一人二人と数え追う            沢木 美子

    梟や月光たまる土間の隙             山田 桃晃

    水辺より闇の這ひくる石蕗の花         日下 節子

    木枯らしの撫でてさすって馬櫪神        永野 シン

    杉玉に筑波颪が朗朗と              須﨑 敏之

    廃運河芥の上に積もる雪             平山 北舟

    レノン忌のもうボロボロの世界地図       田村 慶子

    外灯より生れる粉雪も鈴の音も          蘇武 啓子

    直立に伸びて白神葱となる            椊田 浩子

    冬の花火耳たぶ最っも孤独なり          髙橋  薫

    鶏頭花ひかり集めて膨みぬ            千倉 由穂

    豪雪や骨光らせて家五軒             𠮷野 和夫

    冬蜂の縞あざやかに逝くところ          阿部ゑみ子

    子守唄閉ぢ込めてゐる氷柱かな         吉沢 美香

    この我はみちのくの松についた苔        紺野みつえ

    大枯木踊る相手を待つやうに           奥村 俊哉

    夢の世を夢と知るまで雪月夜           八島ジュン

    鳥声に眼を開く水仙花               あべあつこ

    茸は地の耳森閑という音よ            山本  勲





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