小 熊 座 2022/4    №443 当月佳作抄
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     2022/4   №443   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    我いつか鯨を追って呆けたし            渡辺誠一郎

    寒卵頰ずりしたら孵るかも             沢木 美子

    老残の身を寒夕焼にて支ふ            土見敬志郎

    妻在れば妻と聴きます虎落笛           野田青玲子

    安房春光猪鹿のみか羗も啼く           増田 陽一

    それぞれの面構えなり蘆の角           永野 シン

    疫病も神も見えざる冬青空             浪山 克彦

    ふと覚めし雪夜や吾の世の残り          久保 羯鼓

    しろがねの冬日くろがねの兵器          大河原真青

    氷上に穴あり我に虫歯あり             水月 りの

    正面に雪嶺迫る野辺送り              あべあつこ

    料峭の蛇口を締めて今日終る           鶴巻日々来

    飲み干したカップの底に春の雲           蘇武 啓子

    風光るそこから富士が見えるとは          田村 慶子

    豚角煮の冷めし脂よ牡丹雪             佐川 盟子

    風船を母星に帰らせてあげる            菅原はなめ

    彼世にもあれかしバレンタインデー        樫本 由貴

    「乳房喪失」屋根から雪の落つる音         栗林  浩

    排気ガスは排気ガス色辻の雪            髙橋  薫

    大地から生えたるごとしたろし滝           小笠原祐子

    霜の声魂なき夫と一夜寝ぬ              伊澤二三子

    冬晴れや生きんが為の詩をうたう          富所 大輔

    コロナ禍の世にちらちらと雪が舞ふ         志摩 陽子

    吹雪く声あり鉄瓶の湯気の音             佐竹 伸一

    溺愛とはこんな感じか掛布団             千葉 和珠

    雀来る山鳩が来る雪間かな             塚本万亀子

    人を生くあくる世鶴となるために           八島ジュン

    死出の山登れと背に春の風              亀山 行房

    たましひは体を宿し日向ぼこ             桑原 淑子





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