小 熊 座 2022/8    №447 当月佳作抄
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     2022/8   №447   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    馬の目の夏雲愛す少年記              渡辺誠一郎

    舗装路をS字流しの里回り              増田 陽一

    梅雨夕焼言葉溜まれば息苦し             久保 羯鼓

    薔薇のこの香りが此岸明るくす            日下 節子

    観世音菩薩を経たる螢かな              津髙里永子

    平和とは新緑の街人往き来              橋本 一舟

    囀りの大樹をのこし廃校す               丸山千代子

    準備宿泊まずは除れない黴を拭く           植木 國夫

    昼の蚊の尻高くして柔肌へ               村上 花牛

    形なきことば奏でる青葉かな              山寺佐智子

    オロナミンCドリンクの長い夏              遅沢いづみ

    天金の書あり開けば夏の蝶              佐川 盟子

    ふらここ漕ぎ一番星をかがやかす          斎藤真里子

    ががんぼの膝を崩して長居かな           棟方 礼子

    梅雨茸の猛然と出でて皆消えぬ           長谷川克史

    夕焼の焦げた味するピザ届く             佐藤 成之

    梅雨晴の光が全部荒川へ               千倉 由穂

    甚平のちょっと苦手な人が来る            川原アヤ子

    婆に戻る帽子の蟻を野に返し             横田 悦子

    万国旗端に蠅取りリボンかな              阿部ゑみ子

    天のプレート組み違ひしか日雷            小川たか子

    納屋一日交尾の青大将に貸す             馬場 小零

    誘われてつい付いて行く木下闇            大坂 宏子

    夏の草引けば互角の力もて              阿部 貴美

    捩花の螺線登っているところ              岡村 直子

    ありのままに手を伸ばしたら夕焼空          斎藤 友大

    節くれし指が誇りや遠郭公               若田  郁





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