小 熊 座 2023/1    №452 当月佳作抄
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     2023/1   №452   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    若冲の群鶏にこそ秋の風             渡辺誠一郎

    吊革の騒ぎだしたる冬の虹            土見敬志郎

    天あおぐ冬たんぽぽも閒石忌            沢木 美子

    生きている時間がちぢむ冬日かな         冨所 大輔

    冬夕焼となりしか吾の嫉妬心           関根 かな

    退院の妻のつまづく小春かな           水戸 勇喜

    猪食うた報ひ眼鏡のくもりをり          小島ノブヨシ

    雪嶺や吾れに詩想を与ふべし            平山 北舟

    千六本眼鏡の螺子のまた緩み            丸山みづほ

    秋風の聞こえてくるよ結跏趺坐          神野礼モン

    人波に鯛焼き泳ぎ出しそうに            大西  陽

    おしくらまんぢう幾ら泣いても死ぬ忽れ      松岡 百恵

    記憶とは林檎の皮の長きこと           須藤  結

    億万の帰らぬ鶏のクリスマス            𠮷野 和夫

    白鳥のしなやかな首シュールとは         坂下 遊馬

    冬の蜂釈迦の眉毛の舞ふごとく          𠮷沢 美香

    全天の雲を動かす寒鴉              及川真梨子

    この膝で渡りきれるか三瀬川            森田 倫子

    凍星へ近づくためにペダル踏む          斎藤 友大

    葛の葉の我を忘れてしなだれる          大坂 宏子

    寿司折に割り箸入刀文化の日           鈴木 萌晏

    ため息をつくたび林檎赤くなる          草野志津久





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