小 熊 座 2023/2    №453 当月佳作抄
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     2023/2   №453   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    復活はイエスが一人苦鱁鮧              渡辺誠一郎

    夜濯ぎの水が銀河と光り合ふ             土見敬志郎

    義士の日の吹きつ晒しの信号機           津髙里永子

    雪女どこからとなく溶けはじむ             八島 岳洋

    日輪の翳れば寒し人声も               日下 節子

    枯木立華麗爺にも詩がある              山田 桃晃

    床拭きの耳に時雨の走りくる             𠮷野 秀彦

    鳩寄する手の悴めるウクライナ            平山 北舟

    浪江町の地霊の在す冬日影             中村  春

    冬の蝶ほこりのごとく飛び立ちぬ           熊谷 佐幸

    肥くさしとは子規の一ト言山人忌           椊田 浩子

    ポータブルトイレと暮らす霜の声           斉藤 雅子

    こころまでマスクしてをり気が付けば         大久保和子

    海鳥の羽根のちらばる寒さかな            曽根新五郞

    粉雪も文春も舞う錦町                 水月 りの

    俘虜のごとき木杭の列や冬日差           小田島 渚

    三島忌や鶏肉を煮過ぎたようだ           千葉 和珠

    光源は冬の蠅なり純喫茶               松岡 百恵

    海見ゆる間の併結や年用意             樫本 由貴

    冬虹や肩甲骨がかゆいかゆい            須藤  結

    放火魔に群れなく野火に孤独なし          𠮷野 和夫

    綿虫の飲まず食はずといふ乱舞           佐藤  茉

    鶏頭を濡れたる裸婦と思ひけり           赤間マリ子

    ポケットに松ぼくりのある平和            斎藤 友大

    インクにじむやうに初雪の頭痛            奥村 俊哉

    縁側を舐める冬蠅臈たけて             兵頭 康行

    髪結はふ白鳥の首摑むごと             𠮷沢 美香

    湯気立てて極楽のごと地獄谷            岡村 直子





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