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2023/10 №461 当月佳作抄
ムツオ推薦
一滴の血ほどの蟻が腕を這う 渡辺誠一郎
首塚に蝉胴塚に蝉しぐれ 津髙里永子
青蔦や余生に未来あるならば 日下 節子
海光のままに海月のうち上がる 松岡 百恵
戦終ゆ日の灼熱が底力 須﨑 敏之
猫も吾も顔面で受く炎暑かな 蘓武 啓子
餓鬼の喉拡げる如来施餓鬼寺 𠮷野 秀彦
台風の近づく砂の匂ひかな 曽根新五郎
はたた神銀座のパンのへこみをり 佐藤 和子
死ぬまでは人間ですよ百日紅 大西 陽
天の川生まれる前に戻るだけ 髙橋 薫
ボールペンカチカチ夕立雲迫る 小笠原祐子
骨のみの翼拡がる異郷の月 𠮷野 和夫
秋風に案内をされるレストラン おとはすみ子
溽暑なら溽暑も入れてカップ麺 岡田とみ子
ポケットは開けておきます流れ星 神野礼モン
莢籟や命びろいの母に髭 村上 花牛
青竹を踏んで峰雲膨らます 佐竹 伸一
老衰の祖父の足裏の西瓜の種 𠮷沢 美香
ランボーの腕の太さや神輿棒 森 青萄
白桃の切り口マタニティブルー 檜野美果子
丸まって死ぬ団子虫朝の駅 𠮷沢 美香
喜雨の夜母の呼吸と田の呼吸 佐藤 みね
花合歓や母体寝ぬれば胎の子も 龍 太一
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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