小 熊 座 2023/11    №462 当月佳作抄
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     2023/11   №462   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    秋灯や鴨居は遺影ごと古び           渡辺誠一郎

    波音のたび光り出す芋の露           土見敬志郎

    秋蟬や土偶崇めよまた妻も           𠮷野 秀彦

    落鮎や故郷は瀬音ばかりなる          永野 シン

    遥かとは秋雲までの高さかな           丸山千代子

    蜩や水に名のつくさびしさよ            水月 りの

    露草の色滲ませてゆくチャイム          千倉 由穂

    離れれば風見えてくる芒原            日下 節子

    名の由来如何にあらうと冷奴           水戸 勇喜

    ぎつしりと小さく幸ふ貝割菜            我妻 民雄

    生きるとは匂ふことなり秋暑し          布田三保子

    断層に水の記憶や赤とんぼ           佐藤 みね

    銀河濃し水母がくらげ吞み込んで        髙市  宏

    時刻表折れば膨らみ天の川           阿部ゑみ子

    細胞にあらゆる用意二日月            佐川 盟子

    あの世からみてゐるやうな遠花火        曽根新五郎

    栃の実はまだ空のもの県庁前          鯉沼 桂子

    水切の石の行方や日雷              丸山みづほ

    秋風も言葉も膚に触れながら          岡田とみ子

    大栗を笑いとばせし老母かな          おとはすみ子

    秋の星行き先見えぬこともよし         鎌倉 道彦

    虫時雨空き家取り巻き湧くごとし         大坂 宏子

    海境は見えぬものなり望の月          佐藤真理子

    秋風やOSO18の屍にも             黒河内玉枝

    参道は産道と知る秋祭              横山ひろこ

    目つむれば錦なりけり虫しぐれ         小川たか子

    稲光鯉はうつくしい一語となり          山本  勲





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