小 熊 座 2024/1   №464  特別作品
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     2024/1    №464   特別作品



      暗き声      宮 崎   哲


    冬木立地底の暗き声を聞く

    冬晴れや地中を巡る下水道

    小春日の玩具散らばる畳かな

    冬銀河戦争ばかりの地球人

    積読の書物崩れし十二月

    枯葉舞う一葉ずつの命かな

    国境の道なき道に霜の花

    軋み合う貨車の連なり冬の虹

    ベランダの洗濯物や冬日向

    腰痛の筋トレ百回冬銀河

    寒風の裏道抜けて多喜二の忌

    冬晴れの三両列車小さき駅

    マンションの九階目指し枯葉舞う

    神の旅なり留守神が戸を閉じる

    青空や天まで届けと枯葉舞う

    ラグビーのスクラム低しかけ合いや

    古里や奥羽山脈雪越えて

    十二月デパート混みあう列の中

    地底とは地球の底や枯葉踏む

    冬空に鉄骨クレーン伸ばしおり



      冬の匂い      岡 村 直 子


    虎落笛武蔵の国のトンネルに

    太古より荒川があり冬近し

    オリオンから地球の戦火見えますか

    星飛んで次は宇宙基地戦争

    一列に並ぶ我等に北颪

    皆眠る小春の新幹線何処へ

    落花生と草間弥生の網目かな

    落花生に臍の緒があり繋がれる

    冬の匂いなり墨汁と龍角散

    丸善の昔を想う日記買う

    検査着の寒し腔腸類の裔

    銀杏の木乳房垂らして黄葉せり

    山茶花や産土神と見し紙芝居

    父が刈る庭にたんぽぽ帰り花

    冬帝にヘリコプターの音響き

    皮衣の原始人いて言葉あり

    旧石器時代への道松ぼくり

    その蕾人肉色や菊膾

    冬満月の道連れにされ昇る

    凍て星や甘座(あまんざ)洋菓子店今も





 
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