小 熊 座 2024/1    №464 当月佳作抄
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     2024/1   №464   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    菊人形見て来し夜もガザのこと         春日 石疼

    新松子海の記憶がよみがへる         日下 節子

    口利けぬ者等口利かぬまま死ぬる       八島 岳洋

    冬帽子よりはみ出して地獄耳          永野 シン

    冬天に頬傾けて眠る人              千倉 由穂

    露けさの鬼房小径夢に踏む           浪山 克彦

    北関東ひしやげて去りぬ大野分         中井 洋子

    秋時雨一瞬鰓呼吸にもどる           沢木 美子

    新しき戦前紅葉俘虜のごと            植木 國夫

    水洟や言葉でひとは救へない          よしの公一

    大漁旗のやうに朗らか紅葉山          塚本万亀子

    熊の糞踏んでイザベラバード行く        阿部ゑみ子

    一頭でなくひとりでありし秋の蝶         大久保和子

    冬木立手延べガラスのゆらぎあり        小笠原祐子

    羽ばたきの音する夜の林檎箱          小田島 渚

    結局はどこから見ても昼の月          岡本 行人

    帰り花黄泉より帰る人非ず            宗像眞知子

    あつて無きよそ行きの貌秋の旅        椊田 浩子

    秋の蝶地祗のまばたきかもしれず       杉  美春

    熟し柿食えば俳句の味がする          大西  陽

    熊鈴の遠鳴り湖をおしひろぐ          佐川 盟子

    星月夜くぐらん鯱に摑まつて           𠮷沢 美香

    まっさらな袱紗開けば冬の虹          檜野美果子

    厚物咲や脚のもげたる螽蟖載せて       菅野 由宇

    鬱蒼と冬蜂死せり日を浴びて          樫本 由貴

    泥鰌掘る鳥海山は海の上            山内 伸一

    戦争をしない蜻蛉の臀呫かな          小栗不死実





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