小 熊 座 2024/4    №467 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る



     2024/4   №467   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    日時計は狂わぬ時計寒葵           渡辺誠一郎

    雪解川の音にまじってマニ車          沢木 美子

    軍靴の音吸ひて太りし霜柱           中井 洋子

    標本の蝶は眠らず窓の雪           増田 陽一

    弁解は訥弁がよし梅の花            永野 シン

    霜柱踏むたび背筋伸びさうな          日下 節子

    山茶花を離れて目鼻くもりだす         浪山 克彦

    地震跡の軍手合掌して凍る           植木 國夫

    雪中に句の種のあり雪を掻く          上田由美子

    オムレツに目鼻のありぬ春愁         蘇武 啓子

    春の雪森の匂いをかもし出す         清水 智子

    松枯れの島も松島風光る            水戸 勇喜

    子を産みし身体の記憶どんどの火      大久保和子

    人肌の燗酒人肌など忘れ            髙橋  薫

    鉄瓶は湯気立て川は波を立て         佐竹 伸一

    言葉には成らぬままの詩竜の玉        千葉 和珠

    血の色を赤に戻して蛇出づる          関根 かな

    名づけらるることを拒みて飛花落花      小田島 渚

    夢の人いま菜の花になっている        須藤  結

    人類の居ない平和を祈る蜷           岡本 行人

    ひっそりと蜷の道へとまぎれをり        川口 真理

    鱈一本空から吊るし酒田かな         山内 伸一

    凍る薔薇いつまでも響く子らの声       大坂 宏子





パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved