小 熊 座 2024/6    №469 当月佳作抄
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     2024/6   №469   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    春泥を拭けて洗へて平和なり          津髙里永子

    白鷺が翔てばたちまち白拍子          沢木 美子

    捨畑に春菜の青む激震地            土見敬志郎

    かの蝶の果なり透かし彫の蝶          中井 洋子

    夕月のとほきつめたさ夏に入る         川口 真理

    花あやめ蛇の本性ひた隠し           小島ノブヨシ

    葬列の過ぎる畦道蝌蚪の紐           鎌倉 道彦

    人の世へぎいと向き変ふ春の鯉        鯉沼 桂子

    さくら咲くものプレートは動くもの         瀨古 篤丸

    硯海の波音桜まだ咲かず            髙橋  薫

    銀しやりに赤身白身と春の雪          佐川 盟子

    今生の行き止まりまで野火を追う        佐藤 成之

    人間に触れたき枝垂桜かな           関根 かな

    雲に乗るその次花の雲に乗る          千葉 和珠

    孤独死の孤独流るる春の川           岡本 行人

    花筏とはたましひの滑り台            樫本 由貴

    白蓮や思う時だけ死者の立つ          菅原はなめ

    散る花に山国の空狭すぎる           伊藤 浩子

    本尊の頬にふれたか花篝            小笠原祐子

    夜半過ぎて積もる音せり花吹雪         川名まこと

    春愁が暗渠流れてきたる音           池之端モルト

    弾みをる春菜切つても嚙つても         髙野  香





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