小 熊 座 2024/11    №474 当月佳作抄
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     2024/11   №474   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    この世にて啼き尽すべし秋の蟬            増田 陽一

    大西瓜人間魚雷かとおもう               沢木 美子

    天に入り天ひろげたり鹿のこゑ            川口 真理

    金風の膨らませたる空家かな             大西  陽

    あといくつ寝たらあの世か曼珠沙華          冨所 大輔

    磐座を切れし蜥蜴の尾が跳ねる            髙市  宏

    山姥の尿たばしるや岩清水               春日 石疼

    風下へ火の粉を飛ばす曼珠沙華           土屋 遊蛍

    青蜥蜴一瞬にして少年期                平山 北舟

    ひぐらしのしみ入る汚染水タンク            大河原真青

    涼新た靴減るやうに指紋減り              大久保和子

    光まみれなり玉虫を裏返し               阿部ゑみ子

    秋の天抱けるほどの無産かな             𠮷野 和夫

    浴衣着てこの世の人となっている           佐藤 成之

    秋天の端から端へナイフ引く             千倉 由穂

    みちのくの夜長の電車直走る             水戸 勇喜

    流星となりて消えたる金平糖             蘇武 啓子

    ピエロの服脱ぎてもピエロ梨を剝く          竹中美千代

    馬鹿バッチと言はれて久し狗尾草           岡田とみ子

    風ならばいくらでもある大花野             棟方 礼子

    月の香を閉じこめ柚子は柚子となる         中村すじこ

    天の川カップの底の砂糖粒              菊地 真帆

    血抜きされる魚の眼や星流る             及川真梨子

    笑ひけり西瓜のやうに蹲り               𠮷沢 美香

    名月の重さ新生児の重さ               木村 菜智

    秋の蝶火片となりて消えにけり            木野 紗彩





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