小 熊 座 2024/12    №475 当月佳作抄
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     2024/12   №475   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    蓑虫は星を見てゐる聞いてゐる             中井 洋子

    膨張の宇宙寒くて足湯かな               津髙里永子

    北風や夜空にうかぶ蜘蛛の息              川口 真理

    胯間冷ゆ朝顔の蔓地を這へば              春日 石疼

    龍淵に潜む睫毛に養毛剤                佐川 盟子

    足つつて海鼠になつてしまひけり            栗林  浩

    猫じゃらし道一本を間違へて               日下 節子

    風下へ火の粉飛ばせり曼珠沙華              土屋 遊螢

    露のサドル拭ひ夜空へ翔け出しぬ             棟方 礼子

    生くるゆゑ精霊ばつた草のいろ               瀨古 篤丸

    次の世もこの夫に添ふ鳥兜                熊谷 佐幸

    舞茸が頷いている国訛り                 山野井朝香

    雨垂れを受く鶏頭にある涅槃               髙橋  薫

    無花果に感電し尾が生えてくる              小田島 渚

    秋風や異国に老いる象の尻                龍  太一

    二千年収奪ありぬ冷まじき                 菅原 若水

    縄文の地霊はいまも木の実降る              伊藤 恵美

    水輪とも薄を洩れる光とも               𠮷沢 美香

    夜がきて朝となるだけ萩の花               大坂 宏子

    授乳して頭垂れたるごと稲穂               木村 菜智

    廃校にうつろふ時間しずり雪               幸田  晋





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