小 熊 座 2025/1   №476  特別作品
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     2025/1    №476   特別作品



      人に結      土 屋 遊 螢


    凍裂の谺羽根あるもの翔たせ

    来る筈の無き馬車の音鬼房忌

    夜神楽や海の匂いが後より

    冬の日矢鬼剣舞の跳躍に

    雪蛍石の仏の水呑みに

    無き風に躓き居りし雪婆

    蓮華坐の光源となり冬の蠅

    原子炉の火か狐火か岬の鼻

    浮いている日本列島も綿虫も

    日輪へ飛雪中洲の造船所

    人に結雀に群や冬の虹

    小鳥来る存分に水含みし木

    紅葉かつ散る天平の地の起伏

    髪の根に力稲妻走るたび

    寒茜抱卵の鶏の薄まぶた

    D51の軋む連結雪へ着く

    口寄せの灯り漏れ来し雪を掻く

    海向いて復興住宅布団干す

    鼬罠かけて裏山腥し

    よく晴れて婆はほまちの海苔を搔く





 
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