小 熊 座 2025/1    №476 当月佳作抄
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     2025/1   №476   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    枯野から枯野に尽きる山河かな         渡辺誠一郎

    紅唇が秋風を生む瓢の笛            増田 陽一

    魚とべば波みな沈み年の暮           川口 真理

    裏山の冬日蔵せる正座かな           津髙里永子

    石蕗の花黄をこぼさじと雨の中         永野 シン

    蜘蛛の囲のゆがみ盆地は霧の底        髙市  宏

    ポスト見当たらず木の葉降りやまず       水月 りの

    巻貝より銀河溢るる凍夜なり           𠮷野 和夫

    拿捕しても拿捕してもなお放屁虫         佐竹 伸一

    縄文の土偶吐き出す秋の虹           渡辺  柚

    失恋の治療薬なり牡丹鍋             蘇武 啓子

    空青し大根重しポロシリは            竹中美千代

    触れ合へば鳴り出しさうな冬林檎        棟方 礼子

    切り株にされたばかりで冬に入る        千葉 和珠

    冬の星どこから見てもただの星         岡本 行人

    行く秋や誰も通らぬ翁道             水戸 勇喜

    簪の揺れて依代冬日和              布田三保子

    生まれたての顔をして散る銀杏かな      阿部ゑみ子

    一歳の一秒に降る落葉かな           須藤  結

    老兵の残る力や独楽投げる           山内 伸一

    切株は潮受けし松冬の蜂            𠮷沢 美香

    立つたまま朽ちる柱や冬銀河          檜野美香子

    ひややかに爪の這わせる除光液        鈴木 綾乃

    天と地のあはひの無音鷹抜けて        馬場 小零

    橋や日記に夢を書き留めて           樫本 由貴





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